鬼の研究には能の話がたくさん出てくる。
般若は、角を生やした恐ろしい形相の面であるが、
嫉妬に狂った女という役所の面である。
ちょっと見とても女に見えないが、
ヘアスタイルは、真ん中分けのロングヘアで、
乱れたおくれ毛などの表現があり、
なかなかに恐ろしいのである。
般若にも本成、中成、生成(なまなり)などの、
程度の差があって、この尺度の基準は蛇度である!
生成は、角も短く怖さも、
般若の五割引という感じである。
「道成寺」に出てくる女性は蛇になってしまうので、
本成、真蛇という面。
怖さはさほど変わらないきもするが、
人間的な要素がより減る感じ。
「葵上」の六条は中成、一般的な般若である。
生成りは「鉄輪」かなわ、という曲にだけ使われるらしい。
これにでてくる女性は男を殺そうと、
枕辺に出てくるが、情が残っていて果たせず、
帰っていくのである…
般若は怖いけどもっと怖いのは小面という説。
あのよく出てくる若い女の面である。
モナリザのアルカイックスマイルは有名だが、
小面も同様の謎の微笑を浮かべている。
実にこれが光の当たり具合、角度などで、
様々な表情に見える。
これが芝居の中で、そこでわらうか!…という、
効果が出て、ものすごい怖いことがあるという。
なるほどである。
私はあまり能を見ていないが、この前読んだ三島にしても、
この本にしても、安田先生の話にしても、
やはり能を見ようかなぁという気になる。
私は耳が悪いので聞き取れないのだが、
謡曲の台本があればなんとかなるかも。