松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

キッド2

ダンとテリーは、オープン・アダプションという方式の、
里親制度で子どもをもらおうと考える。
むかしながらのクローズドでは、
生みの母と育ての親は、完全に切り離され、
できればバレなければ自分の子どもです、
で通したいというスタイルで、
ダンに言わせれば嘘を前提にした制度なのである。
(どっちみち男二人では子どもは生まれないのはバレバレだし)
一方オープンのやり方では産みの親と育ての親は一生付き合う。
まるで親戚のように。
そしてこの養父母に子どもを託すという、
最終決定権は生みの母にあるのである。

このシステムの大変さは驚くべきもので、
何度ものセミナー、面接、
数々の書類(財産のすべて、犯罪歴、健康診断、友人や近所の人の推薦状…など)。
自宅をエージェントの職員が訪問する家庭訪問だけで、
四回!(両親、父のみ、母のみ、もう一度両親)
犬の里親選びがややこしすぎると文句をいう私には、
とてもクリアできそうにない。
もちろん各段階ごとにお金がかかる。
ダンは小切手を切りまくるのである。
貧乏な夫婦にはとてもできない。
もう一つ私が驚いたのは、アメリカにおける宗教のあり方である。
キリスト教右派の凄まじさは、よく知っていたが、
ごく一般的なアメリカ人の普通の生活の中で、
これほどキリスト教が存在感を持っているとは、
まったく想像していなかった。

続く