松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

主に珊瑚

暗い話は聞きたくないと言う人はいる。

お幸せで結構な事である。
しかしもちろん私もそんな一人ではある。
私が最も苦手とするのは、実は気候変動の話。
これを読むのは苦痛である。
すでに始まっている深刻な話なのに、
我が国ではほとんどニュースにもならないと言う事に、
絶望するのと同時に、
人間が引き起こした事に、
あらゆる生物を巻き添えにしてしまうのが、
耐えられない、などの理由で。
今月号には3本ほど関連する記事がある。
そのうちの2つは海の話。
海水温の上昇によってサンゴが死滅する話が出てくる。
サンゴについては本川達雄氏の本で読んで、
あっけにとられた記憶も新しい。
詳しくわかりやすく書かれていてオススメである。
生き物はどれも他の生き物と深く関わって生きているが、
生物多様性の要となる生物種というのがあって、
海界隈ではサンゴがまさにそれであろう。
珊瑚礁が海洋に占める面積は0.2パーセントに過ぎないが、
海水魚の種の三分の一、海洋生物の四分の一が珊瑚礁にいる。
これは光合成による有機物の生産に支えられている。
サンゴの中には褐虫藻という藻類が住んでいる。
これが光合成をする訳だ。
藻類はサンゴの重量の半分というから、
サンゴは半分は植物である。
人間の半分は細菌であるのと似ている。
サンゴの枝を伸ばした木のような形は、
葉にたくさんの光を受けようと言う木の作戦と同じである。
サンゴが死ぬ時に白化という事が起こるが、
これは中の藻類が死んだ事であり、
サンゴの色は藻類の色である。
サンゴの話ばかりであれだが、
海水に溶け込んでいる物質が、
温度が上がる事で蒸発し、大気中に放出される事も、
大きく気候を変える引き金になる。
重さや体積が変わる事は他の物質との間に、
激しい動きを生むからで、化学的な反応と相まって、
玉突き的に連続し、
口をあんぐり開けて見ているしかない、
奔流を生み出してしまう。
げっそりする。

「ウニはすごいバッタもすごい」
なんか可愛いタイトルだけどいい本。
有名な象の時間ネズミの時間の著者です。