松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

「結ばれたロープ」読了

ドキドキハラハラしながら一気に読んでしまった。

沢木耕太郎の「凍」のことも思い出す。
凍傷で足の先を失っても、
また登り始める人が出てきたから。
この山の中に、フランスとイタリアとスイスの国境がある。
高い峰に登ると、麓のシャモニーだけでなく、
ローザンヌの明かりが見えるんだから恐れ入る。
これに出てくる人はフランス人だけど、
ここらでもチーズフォンデュを食べる。
これがすごく美味しそうなんだ。
わたしの最も好きなチーズの一つ、
グリュエールをこれに使うが、普段もよく食べる。
熱いスープにこれとパンを放り込んで、
黙々と食べる山男がかっこいい。
とにかく風景の描写、
朝日や夕日に照らされ、
姿を現したり消えていったりする山の姿が素晴らしい。
名の知れた有名なクライマーではなく、
ガイド達は言ってみれば、
ただの地元のおじさんやお兄さんである。
彼らが山でさまざまな困難に立ち向かい、
知恵と体力を出しきり、
仲間を思いやり助け合っている姿は、
やはり人間は素晴らしいなぁと思わせる。
中に割とたくさん写真がでてくるが、
これがどれも素晴らしい。
見ただけで足のすくむものもあるが。
多くの国で長い間読み継がれてきただけはある本であった。

フリゾン・ロッシュ著