松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

ユダヤ人

去年はプリーモ・レーヴィの著作を、
立て続けに読んで、
今回はポーランドの小説を読んだこのタイミングで、
アウシュビッツ解放75周年ということで、
たくさんの記事や生々しい写真が出てきている。
ユダヤ人とは何か、ナショナリズムとは何か、
そういう事をつらつらと考え続けることになる。
「人形」の訳者による解説は、
大事なことがいろいろ書かれており、
私にとってはなるほどと思えることも多く、
この訳者の別のポーランドの関する著作を、
読んでみたい気になっている。
しかしまあ難しい話なので私の手に終えるとは思えないが。

なにしろ日本にいるとユダヤ人にあんまり会わない。
杉並区のベランダでこんちさんを彫ってる私だから、
当然のことだけどね。
どう考えても私が知っている生ユダヤ人は、
大昔若い頃ちょっとすれ違ったくらいの知り合い、
デイヴィットただ1人である。
ユダヤアメリカ人。
その彼も数年前死んでしまったが。
ユダヤ人である事と関係あるかないかは知らないが、
ものすごい優秀な人で、
私は漢字を聞かれて教えてあげられなかったと言う、
はなはだ恥ずかしい記憶がある。
あともう一つ印象的だったのは、
足のサイズがすごく大きい、そしてとても細長い。
スニーカーを履くと左右の紐の穴がくっついちゃう。
靴選びに苦労していたこと。
あんな足は初めて見た。
プリーモレーヴィの「今でなければいつ」だったかに、
靴の話がでてきた。
冬のロシア、ドイツやポーランドでは、
靴は命取りになるほど重要なものである。
靴が壊れると盗まなきゃならない。
それが死者の履き物であっても(殺して奪うケースもあった)。
その際やはりサイズが大事。
これを読んだ時、
思わずデイヴィットの足を思い出した私であった。