松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

穿つ

この前のビッグイシューに、
スマホを使えば使うほど、
どんなに勉強しても成績が上がらないという、
びっくりするような調査結果の記事があった。
前頭葉前頭前野という部分が、
学習や価値判断、感情、そのコントロールなど、
とても大事な働きをしている場所ですが、
ここの動きを抑制してしまうという。
例えば紙の本の辞書とスマホの辞書では、
調べるのにかかる時間は、スマホがうんと早いが、
なんと忘れるのも早い。
紙の辞書では調べている時、脳のこの部分が活発に働くが、
スマホでは反応していないという。
ええーっ!というような話ばかりでした。

夜ひそかに虫は月下の栗を穿つ

ですが、なかなか凄みのある情景で、
私は気に入ったのである。
ところで、この穿つですが、芭蕉は栗の実の中で、
食べながら掘り進む幼虫のことを思ったか、
この栗に穴を開け卵を産みつけたメスの成虫のことを思ったか、
どっちなんだろうかと…
「穿つ」を調べてみました。
字通で。笑
見ての通りですけど、穴と牙で出来た字です。
牙で穴をあけることで、いろいろよんでも、
メスの行為も幼虫の行為も、
どちらも「栗を穿つ」と言えるようです。

この虫はクリシギゾウムシというゾウムシで、
雌はまさにゾウさんのような長い口吻を持っています。
これを栗に突き刺し、その穴に産卵する。
クリの中で生まれた子どもが、
クリを食むしゃむしゃたべて成長するわけです。
確かなことはわからないが、
産卵は昼間行われるような気がする。
一方クリの中は、
月夜だろうが闇夜だろうが、昼だろうが、
てんで関係なくいつも真っ暗だろう。
いつでも好きな時に食べられる。

昆虫にとくにくわしくない芭蕉は、
あの幼虫が、
外から穴を開けて入って来たと考えたかもしれない。
月夜に。
結局私はよくわかんなかったね…