松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

「虫のすみか」

私は毎日気分が良くないわけだが、
娘が貸してくれた「虫のすみか」を読んで、
中和するように頑張ってみた。
私の好きな小松貴先生!の本である。

様々な虫の生活パターンの、
驚くべき多様性が、すごすぎる。
我々はみなこの地球を舞台に生きているわけだが、
使える場所は全て使い、その環境に見事に適応して、
細かく細かく棲み分けている。
その展開は見事というほかない。
細菌の話になると熱を帯びがちな私だが、
昆虫も当然マイクロバイオームを身にまとっている。
彼らの特有の暮らしぶりを支える、
一緒に進化してきた細菌たちである。
その細菌をメスはどうやって子どもたちに渡すか、
という話も出てくる。
人間の赤ん坊は産道を通過する時や、
その後の日常的な親との接触で、
数年をかけてこれを受け取る。
昆虫は子育て期間というものがあまりない。
クヌギカメムシは産卵すると、
卵の上をゼリー状のもので覆う。
このゼリーは幼虫の発育に必要な栄養源であるだけでなく、
子どもに不可欠な共生細菌を含んでいるのである。
またシロアリはほとんどの生物が消化できない、
固いセルロースをバリバリ食べるが、
これも消化に関わっているのは本人ではなく、
彼らの体に住み着いている細菌であるらしい。
キノコを育てるアリは何種類かいるが、
この菌床の話はいつ読んでも面白い。
アリの種類によって育てる菌は別々で、
それぞれが先祖代々受け継いでいるのである。
そのアリがいなくてはそのキノコは育たない。
運命共同体なのである。