松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

道具と形

表札は割に好意的に受け止められており、
実際にお玄関にかけてもらえそうである。
姉にあんたも欲しい?と聞くと、
これまた意外に欲しいという。
陽刻が望みらしいが、太い字じゃなきゃダメだという。
篆書というものは基本的に細いものである。
なんか硬いものにそれより少し硬いもので、
彫ったわけだから、まあそうなる。
丸っこいのもそういう事情だろう。
もっと古い甲骨文字は、
彫るというより刃物で傷をつけるような感じだから、
直線的である。
現代の文字は筆て書いたものを元にしている。
筆は重くもないし力もいらないが、
毛の束がまとまって同じ方向に進まないとうまくない。
そこで少し持ち上げて返すという動きをすることで、
直角方向にもまがれる。
持ち上げたり下げたりで太さも自在に、
綺麗なカーブもできる。
道具と手法は形を決定する要因である。
はたして篆書をデブにアレンジできるかな。

津田梅子の写真が、
反転され加工されていることが話題になっている。
こういうのはイラストではずっと前から行われている。
有名な人ならわからないが、
私のようなそこらのイラストレーターでは、
勝手に絵をぶった切って二つにして使ったりされた事もある。
こういうのは最初は驚いたけど、
印刷物として使われる場合は素材の一つついう扱いになると、
最近は思う。
イラストレーターが何を言っても無駄である。
フォトショップ先輩がお許しになるのだから仕方がない。
道具が形を決めるのだ。
そして人はできることをするものである。
オリジナルにこだわるなら、
原画を額に入れて見てもらうしかないし、
私はそうしている。