松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

サトクリフのこと

ローズマリーサトクリフは、子どものときから病気で歩く事ができなかった。

学校にも通っていない。
イギリスでは家庭教師について勉強する人は割りに多かったらしいが、
自分の足で野山を駆けることもなかった彼女が、
荒々しい部族の戦争や、
命をかけた戦士の闘いや、
細やかな自然描写を、
どうしてこうもリアルに表現できたのだろう、そこにいつも驚く。
人間の想像力表現力は底知れないものである。
外人である私にもあの時代のイギリスのの荒々しく重苦しい古代的な雰囲気が、
ひしひしと伝わってくる。
心理描写も卓越していて、
不安や恐怖にドキドキしながら読むことになる。
「王のしるしは」サトクリフの中でも私が最も好きな一冊である。

人の心の複雑な襞を読み取ることのできない、今の日本の政治家つの薄っぺらさは驚くべき人間の劣化である。
ぎりぎりりまで引っ張って、
消費税延期で選挙で圧勝の可能性を思って、絶望的になったりするこの頃。