松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

次に回ってきた本

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プリーモ・レーヴィを読んでいると、
厳しい話でも愉快な話でも不思議な話でも、
非常に気持ちよく読める。
気持ちいいというのはすっきり明晰であるからで、
どんな味のものでも、奥で一本につながっていて、
その書き手本人に醜い部分、虚飾がない。
あざとい技巧や下心のようなものを、
全く感じさせない文章だからである。
つまり美しい。
毎日毎日醜い人たちをこれでもかと見せられて、
本当にこちらの心まで汚れそうな気分になる。
もう見たくない。
プリーモ・レーヴィには醜いところがない。
どうしてこういう事があり得るのか。
本質的に暖かく、あきれるほど賢く、
そして自制心がある。
この自制心が今日本ではボロボロ。
自らのあるべき姿というものがあり、
それとの距離を調整するのが自制心であろうが、
現在の偉い人たちには、大元の、
あらまほしき生き方というものがそもない。
常に何もかもいぎたなくも丸出し。