松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

ブラックハウスと曲り家

今また無銭経済宣言を読んでいるのですが、
その中にイギリスの古くからある民家、
「ブラックハウス」というものが出てきます。
石と泥でできた壁と草葺きの屋根の家です。
この家では牛や豚や羊も一緒に住んでいたらしいのですが、
前読んだ時も思ったけど、南部曲り家と同じやなぁと。
そこで東北の話に繋がるのですが
宮沢賢治の初期の作品に家父長制と言うのがありますが、
農耕馬と一緒に仕事から帰ってきた、男たちが、
そのまま馬と寝てしまったらしいという所があります。
これを読んだ時はこの頃の東北では、
動物を大事にしたというより、
人間もほぼ動物のように暮らしていたのか、
と驚いたわけですが、
今回動物と一緒に寝るのは、
寒いからではないかと思った。
今度ちゃんと出典を調べますが、
以前「銀花」で東北の貧しい層まで木綿が行き渡ったのは、
明治の初め頃ということを読んだ。
民俗学の本では北の方の貧しい人たちはとにかく、
着るものと夜具が不十分で、
寒さが大敵だったと書かれています。
だって、木綿が無いということは「ワタ」がないこと!
要するに今のような布団がないということです。
そうなると藁と動物の体温が大事だったのではないか。
私のただの予想ですけど。

イギリスでは少なくとも泥炭が豊富にあって、
暖房に使えたのと(これの煤で中が真っ黒になるのが、
ブラックハウスの名前の由来らしいです。)
羊がいたので羊毛はあったはず。
ただし東北より場所によっては、
イギリスの方が寒いかもしれない…
動物を家に入れたのは、人間のためと言うより、
動物を寒さから守るためかもしれない。
どちらにしても貧しい農民にとって、
家畜は大事な財産だったから。