松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

「世界」10月号より

今月の「世界」で、スペインの続きを読みました。
「時間銀行」という取り組みを取り上げています。
これは言ってみれば、
物ではなく、行為の物々交換の事です。
「無銭経済宣言」の話と繋がる。
ここでは行為の価値の評価はいいかげんで、
必ずしも厳密な等価交換を目指していない。
人々が関わる、関係を持つことに主眼が置かれている。

スペインでは現在283余の時間銀行がある。
この活動を通して、難民や移民が地域に溶け込む、
老人と若者の交流を促す、
学校においては、
生徒同士の人間関係のトラブルの解決につながる、
などの成果を上げている。
難民や移民は常に支援される側ではなく、
出来る事、例えば洗濯機の修理やシリア料理を教える、
などの行為と、スペイン語を教えてもらうなどが、
物々交換されるわけだ。
我が国の現在を思うと、なんか夢のような時空。
そもそも難民は受け付けない、
アジア系の外国人は差別し放題、
老人は貧困と孤独の中で死に至り、
若者の自殺率は突出している。

ロシアの新聞が、先日我が首相のことを堕落しているという、
表現で辛辣な批判をしていたが、
そうだ、まさに「堕落」だな、
国民もまたかなりの数が、と感じた。
そんな訳で何を読んでも意気消沈してしまう。