松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

再読の勧め

プリーモ・レーヴィの、
「今でなければいつ」にかかった。
これは自分で持っていた本で、
若い頃に読んだもの。
若者には旺盛な好奇心、なんでも吸収する柔軟性、
どんどん読めるエネルギーなどがあるが、
その理解力に関してはどうだろうか。
これを若い私がわかっていたとはとても思えない。
確かに色々とオンボロのおばあさんになってしまったが、
多分今の方がこの本の素晴らしさがわかる。
若くても賢い人もいるから、私自身に関してはだけど。
ものの価値はいろいろで、若さにもあるし、
同じように年寄りにもある。
若い時とは違った本の楽しみがあって良かった。

最近年寄りが高圧的に、
若者にパワハラ気味な行動をとっては、
もちろん嫌がられるわけだが、
年寄りに価値はないと言う世の中の雰囲気に、
危機感を持っている裏返しなんではないか。
一種のひがみ、嫉妬?
馬齢を重ねるという言葉もあるが。
(これは馬に失礼だし)

若い頃読んだ本を読み返してみたらどうか。
自分の重ねてきた年齢にもそれなりに意味はあったと、
少しは思えるかもしれん。
人間は弱いのでやはりいいとこが一つもないという、
絶望的な状況では生きにくい。
何か一つでも見つけて、
堂々と老いさらばえれば良い。