「これが人間か」
「休戦」は伝染病患者の部屋で取り残された仲間の、
一人の死体を外に運んでいる時、
ロシア兵が現れるというところから始まる。
「これが人間か」は、逮捕された著者が、
ゲットーに集められていたイタリア系ユダヤ人と一緒に、
アウシュビッツに向けて出発する前夜から始まり、
休戦のこの最初のシーンで終わる。
一緒に連行されたイタリア人のうち、
女子ども老人と、健康な男性は着くと同時に、
二つに分けられ、男性は強制労働に回され、
女性たちはそのままガス室に送られた。
共にすし詰めの列車で旅をした、
子どもとお母さんたちの描写がものすごく悲しい。
お母さんたちは、限られた手荷物に、
子どものおもちゃやリボンを入れ、
前日に道中のパンを焼いて準備した。
「これが人間か」については、
内容を紹介する能力と気力が、
私にはあるように思えない。
読んで欲しいとしか言えない。
巻頭の収容所の分布図だけ出しておく。
大きな丸は主要収容所及び抹殺収容所、
小さい丸は付属収容所及び労働収容所。
こんなにたくさん、至る所にあったのだ。
これらの場所で何が行われていたかを、
「普通のドイツ人」たちが、
知らなかったという事は、まずあり得ないと思うけど、
多くの人はほとんど知らなかった。
なんかひどい目にあっているようだ、くらいで。
それは強いメディア規制の賜物であり、
外部者との接触は厳しく禁止されていたからで、
バレれば収容所内で公開処刑された。