松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

素麺とキリシタン

素麺といえば、長崎に「ド・ロ素麺」というものがある。
慶応4年に来日したド・ロ神父が、
指導して生産した素麺である。
(写真で見る限り素麺としては太め)
この人は貧しいキリシタンの生活を支えるため、
乾燥パスタの製法を元にこの素麺を作り、
日本で初めてのマカロニ工場も作ったらしい。
ご本人はフランス人、
それもナポレオンの流れを引く貴族であった。
長崎の北のほうの海沿いの外海地区というところに、
ド・ロ神父に関係のある教会など、
多数残っているらしい。行ってみたい。
浦上四番崩れで各地に島流しにあったキリシタンが、
帰国を許され長崎に戻った時、
生きて帰った人たちもことごとく、
(多くの人が流刑先でもひどい扱いを受け死んでいる)
疲弊しきっており、こういう人たちを助けるために、
奮闘した人でもある。

そういえばなぜか、キリシタンの多かった所は、
五島のうどん、島原の素麺など、
小麦粉を使った麺類の産地として有名である。
素麺は油が入っていて、
結構スパゲッティに似てるかもしれんね。

今、東京新聞に「キリシタンの里」という連載が出ている。
途中から気がついて読みだしたが、意外に面白い。
法王グレゴリウス13世の出たお家で発見された、
メスキータ神父、伊東マンショ肖像画を、
ローマに行って買い受ける話。
先日私が見てきた長崎歴史文化博物館学芸員が、
話をまとめる。
この時、絵の価値を見極めるために、
26聖人記念館の結城神父や若桑みどりさんが、
アドバイスをしている。
この学芸員海江田氏は、その後の、
ティントレット作のマンショの油絵の、
借り受け、レプリカ制作の交渉中に、残念にも、
ミラノで亡くなられたそうである。