松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

「日本を捨てた男たち」読了

「日本を捨てた男たち」面白かった。
出てくる困窮者たちは皆それぞれ、
状況は違うが、一言で言える共通項は、
弱さを持っているという事だろうか。
女性、お金、見栄、プライドそういうものに、
持って行かれてしまう。
まぁ褒められたものでは無い、だらしなさがある。
だから日本で立派に暮らしている、
だらしのある人たちから言わせれば、
「自己責任でしょ、それ以外ない、
彼らは捨てたのではなく捨てられたのだ」と。
彼らはお金がなくて帰りたくても帰れない訳だが、
運良く帰れるチャンスが来ても、結局は、
やはりフィリピンを選んでいる。
窮地に立っている人を、
フィリピンの人たちは受け入れてくれるから。
貧しい人たちが、食事を食べさせる、
シャワーを貸す、寝場所を提供するなど、
見て見ぬ振りはしない。
自分自身が貧しい中で、見ず知らずの外国人に、
こういう事をする日本人がいるとは思えない。
お金も仕事もあって健康なら、
彼らも日本に帰ってくるだろう。
そのどれも無い現状では、日本に帰れば、
決定的に孤立無援になる事を(死ぬという事)
皆知っているのだ。
やはり、捨てられたのは日本なのだろうと思う。
日本は弱者が生きていけない国であるという、
証明であると言える。
我々は誰でもどっかしらに弱さを持っている。
それはどこの国民もそうだろう。
しかし現代の日本は、弱さを許容する、
優しさの持ちあわせはない。