松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

「共感の時代へ」

「動物の賢さがわかるほど人間は賢いか」
を読んでいて、フランス・ドゥ・ヴァールが、
「共感の時代へ」の著者でもあることを知った。
この本は読んでいなかったが、
存在は知っていて面白そうだと思っていた。
先日図書館でこれも取り寄せてもらった。
共感ということを軸に主に猿たちの生態を観察し、
現在のヒトの社会に警告する、
かなり社会学的な本でもある。

内容としては新しい本にも共通する例が出てくるが、
猿たちは公平をよしとする。
同じ課題をこなした場合の報酬が、
不公平であると怒る。
オマキザルはきゅうりと干しぶどうでは、
干しぶどうのほうが好き。
きゅうりも嫌いというほどではない。
両方にきゅうりが与えられると、
ありがたく頂くのに、
片方が干しぶどうであることに気がつくと、
怒って突っ返すのである。
チンパンジーでは不公平の場合、
自分が得するケースでも異議を唱える。
群れ全体に大きなスイカなどのおやつを与えると、
最初こそ奪い合いの騒ぎになるが、
結局みんなでわけで、全員が食べることになる。
こういう行動はどうしてできてきたかと言えば、
やはりそうする事によって、
生き延びてきたからだろう。
それが最も正しい選択であったのだ。
だから逆に言うと、
現在のような不平等な社会をよしとするなら、
ヒトは滅びるだろうということ。
滅びるに違いない。