松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

丸っこい

現在アメリカではビルゲイツら三人の資産が、
国民の総資産の50パーセントを占める。
日本もほぼ同じようになっている。
そして実際一番上の人が権力を握っていて、
最も偉くて強い。
そこには年収の長い長い段階のスケールがある。
そしてその一番下の年収ゼロの人に対して、
社会のお荷物だという人さえいる。
以前安田先生の小学校での授業の話を書いたが、
子どもから年収はいくらですかという質問が出る。
冗談抜きに年収が人物評価その物になっているのだ。

先日ホシガラスのすごい能力を書いたが、
(それ以前に私は空を飛べるってところで、
鳥はすごいなぁと思うわけだが、)
かれらは年収はゼロ、税金も納めていない。
また年収ゼロの赤ちゃんである。
若い夫婦のもとに、新たに登場するのが、
もしおばさんだったらどうだろう。笑
二人は顔を曇らせげげっ、とドン引きするだろう。
おばさんに、赤ちゃんには決して真似のできない、
ご飯をささっと作る能力があっても、
二人の希望の種となる要素は残念ながら無しである。
ホシガラスや赤ちゃんやおばさんのそれぞれの能力は、
どれが上かどっちが偉いかという、
直線的なスケールで計る事ができない。

贈与経済と言うのは、恩送りとか、
情けは人の為ならずとかというように、
緩やかな環の形をとる。
地球が丸いのは引力に引っ張られた結果、
安定の形なわけだけど、その地球上に住む動物は、
自分の周りに環世界を持って、
時に接し、重なり合う、丸い状態で存在するのではないか。
直線的なスケールは、
自然界には存在しない、人が作ったお金の物語の中だけの、
まさにフィクションである。
世界はだいたい丸っこいものでできている。