松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

「無銭経済宣言」3

我々は自分の心に瞬時に浮かぶ感情や感覚みたいなもんは、
生得的なもので自然な、ものだから、
仕方ないと思いがちである。
しかしそういうものも現在自分が採用している、
(意識的にせよ無意識にせよ)ある種の物語に、
影響されて沸き起こっているのである。

この本の中に、
おカネの物語がいかに我々の感覚に染み付いているかの例は、
いっぱい出てくるが、その一つ。
焚き火にあたって(あるいは暖炉に)くつろいでいる時に、
あなたの友達が、やおら分厚い札束を持ってきて、
火にくべはじめたら、どんな気分になるだろう。
きっといろんな事を瞬時に思うだろう。
ちょっとも驚かず、動揺もせずに、
寒いからもっと燃やそうよと、私は言えるかなぁ。
大いに疑問である。
ただの紙なのに。

人は変わる生き物である。
採用する物語が変わる時に。
考え方が変わるというのはなんとなくわかりやすいが、
その時に多分、
感覚、感性みたいなものも変わるのである。
綺麗、汚い、美しい、醜い、正しい、間違っている、
好き、嫌い、などもみんな変わりうると思う。