松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

牛肉の話から

息子から牛肉が美味かった写真が送られてきた。
私がもっとレアに焼いたほうがいいのにと返信すると、
妊婦に生っぽい肉はダメなんだ、刺身も食べていないという答。
なぜかと聞くと、免疫力がどうじゃらというが、
どう考えても免疫力の話に関しては、
私のほうがずっと詳しいので、
これは一体なんだろうと、少し調べてみた。

魚に関しては厚生省から、
水銀の含有量の高い魚に関する注意が出ている。
肉に関しては、
トキソプラズマに関係しているらしい。
しかしである、山のように出てくる、
妊婦にNGの話を読むと、
妊娠初期のアルコールの害はよく知られているが、
というような前ぶりもあるが、
これ自体が実は怪しい。
以前キッドという本の紹介をしたが、
里子を迎えるにあたって、
妊娠初期にビールを飲んだという事が大問題になる。
ダンはネット検索して震え上がるが、
多くの医者や研究者の話を聞き、
「因果関係はあるとは言えない、
アルコールのせいにしたい人がいるという事」
というところで落ち着くのである。

水銀に関しては、たぶん海中の水銀汚染が進んで、
以前にも増して水銀を含んだ魚が増えているという事だろう。
トキソプラズマに関しては、
大人になっての感染はほぼ問題がないが、
免疫抑制状態ではまれに症状が出る。
しかしこれの対応が笑えるレベルに、
殺菌殺虫、抗菌滅菌の嵐。
猫に触るな、手を洗え、よく火を通せ、
など現代人の大好きなアレが山のように書いてある。
トキソプラズマ一匹を駆除するために、
あらゆる細菌を皆殺しにしなさいという注意書きであった!

逆に言うと、要するにこれは無視できない率で、
新生児のトラブルが多いという話なのだろう。
そこに放射性物質や農薬や遺伝子組み換え、
細菌の重要な働きの話は出てこない。
多くの人がアクセスする情報の中では、
トキソプラズマやアルコール、タバコの害などが、
クローズアップされており、
これらを必死に食い止めるために、
もっと恐ろしいものを放置させている。

我々は恐ろしい時代に住んでいると改めて思う。
息子夫婦を不潔信仰の信者にするのは、
ちょっともう無理だろう。