松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

「これがすべてを変える」5

私が今頃知ったことを、
とっくに知っていた人も多いと思うが、
本からの要約で少し書いてみたい。

それまでイギリスの多くの工場は、
動力を水力に依存していた。
流れのあるところ、滝のような場所に、
水車を設置してこれを動力にしていた。
水は何しろタダなのでこれは都合が良かったのだが。
スコットランドの技術者、ジェームズ・ワットが、
蒸気機関を開発する。
これは石炭を入れればいつでもどこでも働く。
お天気や水流に左右されない。
工場を不便な田舎ではなく、
人工の多い都市部に作ることができる。
もはや不安定な自然の影響を完全に排除することができる。
そしてこの蒸気機関を船に乗せることで、
それまでの風まかせの航海は過去のものになった。
このことで欧州の植民地支配は一気に加速した。
1760年から1840年の80年で、
イギリスが輸入する綿花は110万キロから、
1億6600万キロへと激増した。
「本国の石炭、海外での奴隷労働という組み合わせで可能になった、
正真正銘の革命であった。」
ワットはこう言った。
「自然は征服することが可能だ、もし我々がその弱点を見つければ」
ワットの巨大な石像が、
ウエストミンスター寺院に建てられたという。
「祖国の資源を拡大し」「人類の力を増大させた」
功績によって。

自然を屈服させるという考えは、
今も化石燃料を支える思想であるし、
グローバル企業が世界の最も安い労働力を探し回ることは、
欧州列強のやっていた植民地支配と、
ほとんど変わらない。
我々はこの革命によって、現在の搾取し尽くすという、
資本主義のコースに乗っかってしまったのである。