松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

「職人の近代」3

この本には職人と芸術家、実用品とアート、
と言うような区別、違いに関わる話がたくさん出てくる。
私も今までこういう事を様々に考えてきただけに、
非常に興味深い。

芸術品とは何か。
(これは、私の考えだけどね。)
誰かの作った表現物が、
見るものに対して美しい、心地よいなどの、
良い感覚を呼び覚ますもの、であろう。
(現代のアートでは強い不快感を起こさせる事で、
人間の根源的な問題に気付かせようというようなものもあるが。)
そのものは、職人の作ったものであろうと、
芸術家の作ったものであろうと、(素人のものであろうと、)
そうした感動をもたらすものはアートと言えるだろう。
それは意匠やデコレーションが施されたものとは限らない。
そのものが単に用を果たすための合理的な構造でのみ、
形作られたものであってもアートとなりうる。
出来たものがどちらも芸術品になりうるにもかかわらず、
その作り手の人間のほうは、
アーティストと職人では、
やや気質において違いがあるように思う。
職人は、多分人を感動させようと思っていない。
完璧な機能性能を目指して真剣に作っている。
ただし仕事として成立させるために、基本的には、
ひとつずつに膨大な手間をかけたりはしない。
必要十分な時間をかけて最高の出来栄えをもたらすという、
合理性をわきまえている。
芸術家と言われる人はおそらくこういう風ではない。

なかなか是秀に到着しない…
続く