「裏山の奇人」2
面白すぎて死んだ。
私は数学も物理もお呼びでないという生徒だったのに、
大人になってから科学系の読み物をよく読むようになった。
この前は数学者の本まで読んで、我ながら呆れた。
私は科学者の姿勢として、このタイプなら好きという、
はっきりした基準がある。
小松貴氏は、完全に合格であった。(祝!!)
意外に私の合格ラインは高くて超難関である。
その姿勢についての話は、この本にも関係があるが、
書けば長くなるので、今日のところはやめにして、
早速好蟻性生物について。
蟻の巣の中で、蟻から食べ物を分けてもらい、
あるいは掠め取って生活する、
アリヅカコウロギが著者のとりあえずの専門である。
小松氏はアリヅカコウロギを、
なんと2歳の時に実際に確認している。
石をひっくり返して蟻の巣を見たとき、
蟻に混じってそこにいた小さな昆虫が、
飽きるほど眺めた図鑑にあったあれだと、
ちゃんと認識していたのである。
昆虫学者になるべくしてなったお兄さんである。
それ以来今日に至るまで、
いったい何度石をひっくり返したことだろう!
好蟻性という括りは、想像以上に恐るべきもので、
昆虫だけ見ても目のうち半数近くが好蟻性の種を含み、
クモ、ダニ、軟体動物、線形動物にもいて、
植物、菌類、細菌類、ウイルスにまでいる。
アリ、シロアリと関係を持たねば生きていけない生き物が、
あらゆる方面に存在するのである!!!
そしてその関係の仕方はもう多様と言うしかない。