松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

沈黙をめぐって

星野博美さんついとより
遠藤周作氏が自身の信仰心のゆらぎを小説で描くことに異論はないのです。ただ『沈黙』で史実と虚構を巧みに混ぜたことで、筆力があるが故に後世のキリシタン観に多大すぎる影響を与えてしまった。キリシタンは『沈黙』に呪縛され続けていると言っても過言ではありません。虚構は時に罪深いことをする。

ジュリアンとマルチノ、ミゲルについて熱く語りました。ぜひ見てください。できたら「沈黙」を見る前にこちらを!

NHK-BSプレミアム 「英雄たちの選択-天正遣欧使節」
放送 2017年2月9日(木)2000〜2059
再放送 2017年2月16日(木)0800〜0859

星野さんは沈黙のどこらへんを問題にしているのか、
はっきりとわからないが、
私の場合、「クワトロ・ラガッツィ」から、
「みんな彗星を見ていた」から「沈黙」という
逆コースで読んだので、
フィクションの弊害的な感想はなかった。
それよりも私が何より感じたのは、
これらの本ではイエズス会が、迫害される方で、
日本の信者に寄り添う、「いいもの」の扱いだが、
同じイエズス会が、
南米でやった布教と言う名の悪魔のような所作は、
なんだというところである。
ブルース・チャトウインの「パタゴニア」などを、
読むと、もう思い出したくもない話が出てくる。

明治政府はあくまでも禁教令を下ろしたくなかった。
下さざるを得なくなったのは、外圧の為である。
キリスト教諸国が浦上四番崩れを強く批判し、
これが通商条約を結ぶ際のネックになったからである。
世界で集中的に非難を浴びているようだが、
メディアなぞ見るに、
我が国は自己再生レベルを超えているので
外圧は有効ではある。

昨日は若桑みどりのクワトロラガッツイの、
あとがきを引用している早川氏とかもあって、
いろいろ宗教弾圧が、
世界のキーワードになっているのは確か。

政府は映画沈黙を、たぶん押している。
NHKがアピールに余念がない。
クールジャパンというわけだろう。
そういう観点から行くと、確かに沈黙は、
利用されやすいニュアンスもあるかもしれない。
死ぬことを美化する的な…