松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

「土と内臓」8

プレバイオティクスという言葉が出てくる。
これは細菌の大好物の多糖類のことである。
要するに食物繊維ということになるが、
これが現代人はてんで足りてない。
アメリカ人で言えば、必要量を取っている人は、
たった3%だという。
多糖類は、植物の葉に含まれるもの、
根菜類に含まれるもの、果物に含まれるものなどがある。
そして世界中の人が食べているイネ科植物の種、
穀物が重要である。
しかしこれは完全に精製してしまうと、
単純な単糖類になってしまう。
単糖類は大腸に到着する前に、
ブドウ糖に分解されてしまい、これの取りすぎは、
糖尿病の原因にもなる。
食物繊維はその消化のしにくさがポイント。
穀物を、全粒粉の形で、玄米やぶづき米の形で、
食べることで素晴らしいプレバイオティクスになる。

ここまでは、細菌類の餌であるが、
もう一つプロバイオティクスという言葉が出てくる。
これは細菌そのものを含んだ食べ物である。
これはダイレクトに治療効果がある。
この本でも糞便を移植して、
重度の腸炎や膣炎が回復する話が出てくる。
婦人科系の病気では現在も抗生物質が普通に使われるが、
これで細菌を全部殺してしまうので、
病気は繰り返し起きて重症化する。
糞便移植での治癒率は90パーセントを超えるので、
なんというかケチのつけようがないのだが。

著者はアメリカ人だから、
残念ながら麹の話は出てこないが、
ザワークラウト、キムチなどが登場する。
アジアではプロバイオティクスを、
よく食べる習慣があると本のどっかに書いてあったが。

何れにしても研究者の実験によれば、
こうしたものを取ることで、
われわれのマイクロバイオームは、
驚くほど早く、数日で変化し始める。
細菌の繁殖のサイクルはとても早いから。