松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

加賀の旅3

民宿北前船は、宿泊者の上限が13人で、
我々は貸切という状態であった。
お夕食は「蟹」である!

このお宿は地元のお能愛好者の、
お稽古場になっているとのことで、
姉の友達ビートちゃんとかっぱちゃんの参加が決まった段階で、
夜は古典芸能の夕べとなる手はずであった。
ところが直前になってビートちゃん体調不良で欠席と相成り、
企画は縮小を余儀なくされたのである。
何しろビートちゃんは鼓は打つは、謡はうなるは、
何より山中節の名手と伝え聞く。
山中節はこれのコンテストがあるくらい愛好者が多いが、
難曲として有名でもある。
「ビートちゃんに山中節を教わろう!」というのが、
目玉イベントだったのである。
かっぱちゃんは三味線と歌詞カードまで持参してくれたが、
難しすぎて、我々にはてんで唄えたものではなかった…
(最初のハァーから、もうだめ…)
ビートちゃんの穴を埋めるべく、
姉がいつになく頑張って小舞を二曲舞ってくれたが。
サブの出し物で、あのふくだが三味線で、
娘が男踊りという阿波踊りもあったが、
何よりわかりやすいし、これが意外に受けた。
(久しぶりで娘はももがつりそうになっていたが…)
しかし、かっぱちゃんも着物に着替え、
姉もちゃんと袴をつけての熱演で、
ツアー客諸君にはまぁ珍しかったのでは思う。

ここのお宿のお嬢さま達はのんきなもので、
夕食が終わればどっかに帰ってしまった!
文字通り貸切、我々だけである。
私はそこまでとは知らなかったが、
娘が「私、一応鍵預かったから」って、
えーっ!であった。
夜は外に出てちょいとおぼろな満月を見た。

こっそり覗いた箪笥の引き出しは、
(引手が取れて開かない段もあったが)
お能の台本の古い和綴じの本がぎっしりあった。
とにかくここも船主さんのお宅であるから、
柱から梁から、欄間、襖まで大変な代物である。
本当にびっくりであった。

翌日は車で50分ほどの永平寺に行く予定で、
早めに出たかったが、お宿のお嬢さまたちは、
朝食は8時半、それ以外ダメ!であった…。
なんと永平寺の参拝時間は5時半から!なのに。