松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

泣きたくなる

金沢の古い傾いた家に住んでいた子供のころ、
ご馳走といえばすき焼きであった。
すき焼きの時はいつも居ない父が、
なぜか割り下を作って奉行役を務めた。
当時、牛肉オレンジの自由化前であるから、
あのお肉は、国産飼料(遺伝子組み換えでない)で育った、
黒毛和牛であったと思う。絶対に。
非常に美味しかった。
また、何かの時にはお寿司をとる。
私が小さかったせいもあるが、
直径7、80センチはあろうかと思われる、
大きな桶にぎっしり並んだやつを、
近所の松江寿しさんが出前してくれた。
これも新鮮な地物のネタであったに違いない。
冷凍物?ないない、である。

現在の私はこういうことはできない。
いったいお肉はどれだけ買ったんだろう。
1キロ以上は必要だったのでは…
実家は資産もなく、8人家族を父一人が養っていた。
父は地元企業の一介のサラリーマンであった。
この違いは、物価と給料の関係が、
今と全く違っていたと考えるしかない。
我々は本当に貧乏になったものだと、
つくづく思う。

山田先生はアメリカに行った時、
小麦生産者協会の会長に、遺伝子組み換えで小麦は、
まず日本に食べてもらうと明言されたという。
小麦はアメリカ人には抵抗が大きいからと。
なぜ我々は普通の美味しいものが食べられないのか。
日本には美味しいものがいっぱいあるのに。
それらを潰して輸入する。
泣きたくなる。