松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

「現代思想」2

線をどこに引くかはいろいろあるだろう。
最近の新自由主義の世の中では、
もっぱらお金を生み出さない、お金を食う一方であるなど、
お金が線を決める傾向がある。
線引きする人は、もちろん自分をダメな方には入れない。

上野千鶴子氏の文章から。
ケアに関わる公演会でのこと。
「健康で溌剌とした高齢者が、大きな声で
「80歳以上の重度介護を必要とする老人を処分することはできないか」
その人は確かに「処分」と言った。限られた国の予算を効率的に配分するためにも、もう死ぬことがわかっている重度要介護者に資源配分するのはムダだと。」

発言者は70代と思しき男性であったらしいが、
人から見れば、あんたも完全に近々仲間入りじゃん、
と思うだろうが、本人は少しもそう思ってはいないらしい。

どこか悪いから人は死ぬので、
死ぬ直前の人はみんな体の具合が良くない。
そして人は皆死ぬのであるから、長いか短いかは運によるが、
誰もがいつか確実に、
人の世話になるだけのぐったりした状態になるはずである。
そっち側に入りたくなくても入るんだから、
線引きなどしなければいいのに、
どうしてしたくなるのだろう。