松井なつ代のやま

ステンシルのイラストや本の紹介、麹の話、そのたいろいろ。

「これがすべてを変える」7

アメリカ最大の自然保護団体TNCの話は、
本当に腰が抜けた。
テキサスからルイジアナ州の沿岸に広がる、
草原ライチョウの一種プレーリーの営巣地を、
石油大手モービルから譲りうける。
もちろん、危機に瀕した絶滅危惧種を救うためである。
ところがその4年後、TNC自身がここで、
天然ガスの採掘を始め、結果的には、
プレーリーの最後の繁殖地は消滅する。
そんなバカな…
大手環境団体の迷走の話はいろいろある。
新しい環境保護運動という名の企業との連携が、
いろいろ展開される。

京都議定書が炭素税を導入するかに見えた時、
クリントンのアメリカは、
カーボンオフセットを押しまくり、
あげくに決裂し、論争に勝ったアメリカが批准しないという
おかしな結果になる。
カーボンオフセットと言うのは排出権取り引きという、
なんとも言えないもので、私は当時からこれに、
納得できないものを感じていたが、
この目にも見えない権利をめぐって、
大量のプロジェクトが生まれ、地球のいろんな隅っこで、
先住民などがえらい目にあっている。
詐欺のような話は多数。
そもそも温室ガスを排出しても、
これを帳消しにできる他の事で、
ゼロにできるというシステムのようだが、
これは一種の足踏みというか、気休めというか、
気持ち的に圧迫感のない方向に持っていくための、
暇つぶしのような気がする。
とりあえず私にはそんな感じがする。

ま、ここで大体上巻が終わる。
退屈かもしれないけど、まだ下巻についての紹介を続けるので、
悪しからず。

これがすべてを変える」6

環境保護団体は何をしたか。
もともとの話としては、環境保護という考え方は、
白人の金持ちが思いついたことです。
自分たちの素敵な場所を残したいという事。
だいぶ前に「世界」に出ていた、
フランスのフィガロの翻訳で、
エーデルワイスについての記事を紹介したが、
その話と全くかぶるようですが。
登山も金持ちの趣味であったので、
昔の有名な登山家はみな白人で貴族も多い。
現地の人を何人も雇い大荷物をもたせて、
征服もないもんだと思いますが、
インデアンがいっぱい住む場所を、
新大陸発見と称するのと同じで、
こういう自己肯定感過剰の人たちには何を言ってもダメですね。
アングロサクソンに限らず、
征服が好きな男は多いように思うが。
話が少しそれましたが、まそんなんで彼らは、
経済のあり方をどうこうするつもりはなく、
国立公園として手をつけないというような事をした。
ここで、先住民の生活手段を奪ったというわけでした。

その後1960年、70年代は、
レイチェルカーソンの本の反響などもあり、
様々な化学物質の使用に規制をかける法律が作られ、
国際的には、ワシントン条約などが締結されます。
この時代がそのまま進めば、
非常に有効な効果を上げたはずですが、
80年代以降風向きが急激に変わってくる。

えっさほいさっさ

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小田原で駕籠屋やってきました。
子ども用ですごい低いんだけど、
耳の位置もぴったりで、私は猿に向いているみたい。

今日は友人の引越し先の、
お家を検分してきました。
夫を亡くし心機一転、人生の第二部を、
なぜか小田原で始める運びになったというわけです。
私の母の弟が茅ヶ崎にいたので、
子どもの頃夏休みに何度か、
はるばる遊びにきたことがありますが、
小田原は多分初めて降りた駅です。
駅名に馴染みがあるのはお正月の駅伝のせいですね。

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不思議なご縁が重なって借りることになったお家は、
純和風の一軒家です
しかし、違い棚はやり過ぎじゃない?
家のまわりはグルッとお縁側になっていて、
雨戸を全部開けるだけで一仕事でした。
しかし素晴らしいの一言です。
このお座敷で我が家の古い座卓を、
使ってもらえることになりました。
徒歩5分でそこは太平洋だし。

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小田原は大都会で駅ビルは内容充実。
お土産に籠せいのおでんだね買ったりしました。
とりあえず私は大変気に入ったので、
心置きなく頑張って引っ越すように、
励ましてきました。

中学の社会以来、

アングロサクソンの骨の髄まで染み込んだ、
あの自信の源は産業革命であったのか!
と、遅まきながら気がついたワシである。
そしてこれを思想的に支えたのが、
フランシス・ベーコンである。
またしてもこのおじさんについては、
お名前くらいしか存じ上げなかったが、
この本の中で、
「自然を自らの意思で屈服させられると考えた男」
というふうに書かれている。
地球の敵、迷惑なおじさんであったらしい。笑

「これがすべてを変える」5

私が今頃知ったことを、
とっくに知っていた人も多いと思うが、
本からの要約で少し書いてみたい。

それまでイギリスの多くの工場は、
動力を水力に依存していた。
流れのあるところ、滝のような場所に、
水車を設置してこれを動力にしていた。
水は何しろタダなのでこれは都合が良かったのだが。
スコットランドの技術者、ジェームズ・ワットが、
蒸気機関を開発する。
これは石炭を入れればいつでもどこでも働く。
お天気や水流に左右されない。
工場を不便な田舎ではなく、
人工の多い都市部に作ることができる。
もはや不安定な自然の影響を完全に排除することができる。
そしてこの蒸気機関を船に乗せることで、
それまでの風まかせの航海は過去のものになった。
このことで欧州の植民地支配は一気に加速した。
1760年から1840年の80年で、
イギリスが輸入する綿花は110万キロから、
1億6600万キロへと激増した。
「本国の石炭、海外での奴隷労働という組み合わせで可能になった、
正真正銘の革命であった。」
ワットはこう言った。
「自然は征服することが可能だ、もし我々がその弱点を見つければ」
ワットの巨大な石像が、
ウエストミンスター寺院に建てられたという。
「祖国の資源を拡大し」「人類の力を増大させた」
功績によって。

自然を屈服させるという考えは、
今も化石燃料を支える思想であるし、
グローバル企業が世界の最も安い労働力を探し回ることは、
欧州列強のやっていた植民地支配と、
ほとんど変わらない。
我々はこの革命によって、現在の搾取し尽くすという、
資本主義のコースに乗っかってしまったのである。